とうとう太陽も観念したように沈み始めました。
昼間のうちにはどれほどの権勢を持ちあわせているのかと思われるほどのパワーを発揮していたお日様さんもようやく、その衰えをみせながら海原に沈み始めました。
私は、静かに杯を傾けながら明日のことなどに思いを馳せています。妻は、どこへ行ったのやらカメラを手にとって出て行ったきり、お日様さんが完全に沈むまで戻ってきませんでした。
この時になぜだか、滅多に聞くこともない加山雄三の「夕陽あかーく、地平のはーて」というフレーズが突然に頭に浮かんできて、無性に聞きたくなったのであります。
それまでJAZZオンリーのBGMだったのですが、どこかのプレイリスト入れていたことを思い出して加山雄三を探し始めたのです。旅に出るときはいつもiPadClassicを持参します。大体5万曲近く入っていますから、どんな長旅でも大丈夫なのですが、最近このiPadClassicも疲れてきているみたいでディスプレイの文字が薄くなってしまっていて読みにくいのです。それでなくても緑内障の手術をして視力がかなり低下していますから尚更のことであります。こういう時に妻がいれば簡単に探し当てられるのですが、肝心な時はいつだってこの調子であります。だんだん腹がたってきたのですが、ようやくの思いで探し当て流しました。
「夜空を仰いで」とか「旅人」とかなかなか、このシュチュエーションにあっているではないですか、危うくなりかけていた私の気持ちも、以前のシアワセなものに変わっていったのでありました。
こういう時の酒は本当に旨いですね。旅に出て一日目に迎える夜ですから結構興奮気味でありますから、クイクイとお酒が進みます。