椅子とテーブル持ってきて良かった

お日様さんが水平線の彼方にすっかりと沈み込んで夕陽の残照が少しだけ残っている時にカメラをぶら下げてしぶしぶといった様子で帰ってきました。地方での夕暮れは太陽が沈んでしまえば急速に大気の温度をさげていくものであります。
それぞれのトアを大きく開け放しておくと日中とは打って変わって涼しい海風が通り抜けていきます。本格的な闇が訪れるまでにはまだまだ時間がありそうです。

これまで駐車していた車のほとんどはいつの間にか姿を消しておりました。この時点で留まっている車のほとんどは車中泊者であります。数えてみると私の車の他に1台しかありませんでした。

普段の生活でそれほど会話のある夫婦だとは思わないのですが、こういう特別な環境に置かれると違ってきます。妻も滅多には口にしない缶チューハイに口をつけているせいもあり、よもやま話に花が咲きます。
気がつけばおじさんが一人、木材を模したコンクリート製の手すりに身を寄せて、海を眺めています。これはタイミングだけの問題なのですが、そのおじさんと偶然に目があってしまったので、反射的に会釈をしたのです。
そしたら、思いもかけない元気な声で「こんばんは」と返ってきたのです。そこから会話が続き結局離して駐めてあった車を私の車の傍まで移動してきました。
どうせなら、一緒に酒呑みでもしようという話になりました。そうなるとこちらは手慣れたもので準備するのは半端でなく早いのです。
というのも毎回こういう旅では見ず知らずの旅人と一組か二組と一緒に大宴会になってしまうというのを経験しているのであります。

旅の準備するときに椅子とテーブルを持ってでるかでないかで結構迷っていたのです。長野や山梨あたりの近場だけで過ごす時には必須アイテムでありますが、長距離を走るとなると椅子とテーブルは結構邪魔なものなのであります。
この時こそ持ってきて良かったなと思ったことはありません。もっと遅い時間になるとこの4人にもう一組の夫婦が加わることになるのです。

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