「北海道の風景は大雑把すぎて・・・」と若い女ライダーはうそぶいたのです。
0分ほど経ったころにようやく、それぞれの椅子と呑みものを持ち席についてあらためて簡単な自己紹介などをやり、旅談義に花を咲かせることになったのであります。
こういう時の話というのは結構有意義なものが多いのでおろそかにしてはいけないのであります。それぞれが実践してきた生の情報ですからあたり前の事でありますけれども。あれ?そういえばおじさん夫婦の名前を聞くのを失念していました。ま、それでいいのです。これまでの経験からしてもう2度とお会いすることはないのですから。
話によると埼玉県から今朝旅立ってきたらしいです。こうなると辿ってきたコースは私たち同じになってきます。そしてここからが違います。これから秋田の男鹿半島を周り、青森の竜飛崎へ寄り、青函フェリーで北海道に渡り、約1ヶ月間かけて一周する予定だということであります。これは本格的な車中泊による旅人ですね。
これまでなんども北海道を周りましたが、いつも1週間から10日ほどの日数しか取れませんでしたから、北海道へ行くまでの道中を楽しむという発想が湧きませんでした。新潟港から苫小牧へ行った一人旅の時だけ1ヶ月ほどをかけましたが、その時ですら、全面的に頭のなかを支配していたのは北海道だけでありました。
そうそう話はまたまた脱線してしまいますが、新潟港から北海道へ単身北海道に向った時にカー・フェリーのなかで男女二人のライダーと一緒になり、夜のふけるのも忘れて酒を呑みながら話し続けたことがあります。男のライダーの方とは苫小牧まで一緒しましたが、若い女のライダーは翌朝6時に秋田港で下船して東北旅行にでかけていきました。その時の女ライダーの話には興味をそそられました。
「なんで北海道でなく東北旅行なの?」「北海道は好きで好きで、アルバイトをしながら3年ほどいたんですよ」私はこの時に延べ日数にして1ヶ月ほどの滞在時間でありました。いやはやこれは筋金入りの北海道大好き人間だなと思ったわけであります。
「3年もね北海道にいると、最初は好きだった北海道の風景が大雑把にみえて嫌になるんですよ。だから今回はちまちまとした東北の風景のなかに身を置いてみたくなったんですよ」
なるほどな、感じようによっては北海道の風景はどこへ行っても大雑把なのかも知れないと思ったけれど、私はそのおおらかで大雑把な風景に憧れていたわけですから・・・・。そして今でも結構憧れているところはあるのです。