まだ旅は始まったばかりなのです
苗場ICから国道17号線に入り、のんびりと走り続けます。お米で有名な魚沼市を通り抜けます。
以前に福島の奥会津檜枝岐村から尾瀬の入り口の駐車場を後にして、くねくねとしたつづら折リの山道を永遠に走り抜けて奥只見湖にたどり着き、独り2日間ほど過ごしたことがあった。
まだ夏の盛りだったのに、人の姿をみかけることもなく、どんよりとした蒼いダム湖の水の色が不気味に思えて、そこからぬうっとネス湖の恐竜のようなものが現れそうな不気味な雰囲気を感じたものであります。
こうなると一人旅というものはいけません、妄想が勝手に独り歩きしてしまって、どうにも自分の手には負えないものに育っていくものであります。さすがに3日めの夜をその場所に泊まる気はしなくて新潟側へ一目散に逃げた覚えがあります。その時に通過したのが山古志村であり、魚沼だったような気がします。
その時はそのまま南下して糸魚川まで抜けて、長野の白馬村にたどり着いた記憶があります。だから魚沼を通るたびにその時の恥ずかしい思いが蘇ってきてしまいます。今回は妻とのふたり旅でありますから、あの時のように孤独があらぬ妄想を膨らますことないだろうから、あの限りなく寂しいダム湖に泊まるのもいいかも知れないとおもった。
そこで、「ここから奥只見のダム湖に行ってみてはどうだろうか」とおずおずと口にだしてみたのだが、以前に酔っ払った時に奥只見の恐怖体験をかなり大げさに脚色して話したことがあり、その時の話をまだ覚えていたらしく、間髪を入れずに拒絶されてしまった。どうもいつものサービス精神が災いしたようであります。話を面白くするためとはいいながらも、あまりに大げさに脚色していけないなと反省することしきりでありました。
新潟県に入ったからといっても新潟市まではかなりの距離を走らなければなりません。それでも道はかなり整備されているし、風景も都会の無味乾燥なものとは違い、風景そのものがごちそうであります。新潟の印象に残るもののひとつがかまぼこ型の車庫であったり、倉庫であります。なるほどあの形であったらいちいち雪下ろしをすることもないからいいアイデアだと以前から思っていました。
私の故郷は同じ雪ぶかい山形でありますから、同じ条件なのに同じような建物をほとんど見かけないのはどうしてだろうかと考えこんだことがありましたが、私が考えついたとしてもどうにかなるもんでもないので途中でやめておきましたけども。
とにかくまだまだ旅は続くのでありました。