「へえー、で、どこからきたの?」「みなみぎょうとく」

最初は焼酎の水割りをきちっと正しく作って呑んでいたのですが、埼玉からのご夫妻の旦那さんが頻繁にビールのごとくドボドボ注ぐものだから、だいぶ酔が回っていた私はだんだん面倒になってしまい、気がつけば焼酎をそのまま口にしていました。

大分夜も更けてきたころに軽のワンボックスがやってきました。見るともなく目をやると、いきなり駐車場にドーム型の大型目のテントを張り始めました。どうも若い夫婦のようであります。駐車場にテントを張るという行為はこれまでほどんど目にしたことがなかったので驚きました。
それよりも驚いたのは、夫婦で交わす会話であります。英語と中国語ぐらいなら、内容はわからないけれども判別はつきますけど、彼らの言葉は皆目見当がつかないものでありました。
こうなってくると私の興味の対象は埼玉夫婦からいきなりテント張り夫婦に移っていくのでありました。酔った勢いに背中を押されるような形で、「こんばんは」と声をかけて見ました。そしたらきれいな日本語で「こんばんは」と返ってくるではありませんか・・・・。
あとはお決まりのパターンであります。10分後あたりにはそのいきなりテント夫婦も椅子と酒を手にして私たちのテーブルに座って旧知の仲のような雰囲気で宴会を続けていたのです。
本当はその情景をここで描写すればいいのでしょうけれども、その筆力がありませんので簡単に書いておきます。
「さっきの言葉は何語だい?」
「あれはポルトガル語」
「へえー、だったら日系のブラジル人ですか」
「ぴんぽーん」
「へえー、で、どこからきたの?」
「みなみぎょうとく」
「え!?みなみぎょうとくって市川の?」
「そう、千葉県のね」
いやはや、今日はなんていう日なのでしょうか、一組は埼玉のご夫婦で二組が市川の夫婦なんですから、ご近所同士まるでつるんで出かけてきたような感じであります。
もう日本に住んで20年だそうです。日本国籍も持っており、名前が太郎というのだそうです。また6ヶ月の赤ちゃんもおりまして、名前を猛(たけし)と命名したそうであります。
それが、長年溶接工していたのですが、最近いきなり10名ほどがリストラされてしまったそうであります。それでも暗い雰囲気はひとつもなく逆に逞しさを感じてしまいました。

そんなこんなで結構盛り上がっていたのですが、次の朝はそれぞれの目的地に向って早めに旅立ということで、お互いに「よい旅を」と挨拶交わしお開きとなりました。
今こう書いていて疑問がひとつ湧いてきました。日本在住20年にしてはどうみても20代のご夫婦だったなということです。だから子供の時に移住してきたのだろうと思います。ま、そんな事はどうでもいいか。

翌朝は二日酔い気味で起きだした時には二組のご夫婦の姿はありませんでした。事故らないでとにかく良い旅を続けてくれることを、ウスラボケ頭で祈るのでありました。

さてこの時点でまだ1日目を終えたばかりです。本日も含めて残り4日であります。もうそこに私の郷里山形がありますので、とりあえず山形県酒田市代表的な場所をナビを入力しておきました。

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